カテゴリー別アーカイブ: Research

視覚が不自由なユーザのファッション活動に関する定性的調査

 

 

ファッション活動は社会生活において不可欠であり,個人のアイデンティティの表現でもある.し かし,ファッション活動は本質的に視覚を通して行われるため,視覚障がいのある人にとっては難易度が高い.情報技術は視覚が不自由なユーザのファッション活動を支えることができるが,既存研究では彼らの 必要としている情報や課題の全体像を十分に分析できていなかった.本研究は,視覚が不自由なユーザへ のインタビュー調査とその分析により,ファッションにおける視覚が不自由なユーザの問題点とその構造 に対する理解を深めることを目的とする.事前調査では視覚障がいのある 30 人の成人(全盲 18 人,弱視 12 人,男性 11 人,女性 19 人)の衣服のファッション活動に関するインタビューを通じて,定性的な調査を行った.本調査では衣料品のファッション活動が 4 つの段階,すなわち,購入前,店舗でのショッピング, 衣服管理,コーディネートから構成されていることを明らかにした.また,ファッション情報の収集,購 入する服の詳細情報の取得,着る服の状態の把握,コーディネートのフィードバックの取得といった,各段階における大きな課題を特定したうえで,ファッションに関するアクセシビリティを技術的に支援できる研究分野について論じた.

 

嶋田 紅緒,矢谷 浩司.「視覚が不自由なユーザのファッション活動に関する定性的調査」情報処理学会UBI研究会,2019年3月.(paper)

風を用いたインタフェース実現に向けた風に関する知覚の定量的調査

 

風は新たなユーザインタフェースの情報提示手法として近年注目されている.しかし,先行研究で はインタフェースとして利用可能な風を起こすシステムを実現することが主な目的となっており,風によ る刺激と人間の知覚の関係性においては明らかになっていないことも多い.本研究では,人間の知覚を考 慮した風を用いたユーザインタフェースを実現するために,扇風機を用いた風に対する知覚を定量的に評 価する実験システムを構築した.そのシステムを用いて,ユーザが風の変化に気づくのに必要な強さの変 化量を調査した.さらに,調査した結果から風と人間の知覚の関係に関する知見をまとめることで風によ るユーザインタフェースの設計のガイドラインを提案する.

竹ノ内 朝陽,矢谷 浩司.「風を用いたインタフェース実現に向けた風に関する知覚の定量的調査」情報処理学会UBI研究会,2019年3月.(paper)

CodeGlass: GitHubのプルリクエストを活用したコード断片のインタラクティブな調査支援システム

ソフトウェア開発においてソースコードの理解は必要不可欠である.特に,実際の開発においてはコードの一部分(コード断片)の理解が必要となることが多い.我々が行ったインタビュー調査では,GitHub のプルリクエストの説明文とコメントに,コード理解において有用な情報が含まれていることが明 らかとなった.しかし既存のシステムでは,コード断片の理解支援のためにプルリクエストが十分に活用 されていない.そこで我々は,ユーザが選択したコード断片に関連する過去のプルリクエストを抽出し,ユーザに提供する CodeGlass を開発した.CodeGlass では,プルリクエストの説明文を解析し,実装内容や開発背景に関する文章をインターフェース上で強調して表示することが可能となっている.CodeGlass のアルゴリズムにより,選択されたコード断片が過去のバージョンにおいて分裂していた場合にも,関連する過去のプルリクエストをユーザに提供することができる.我々が行った CodeGlass の定量的および定性的評価の結果,コード断片の理解や専門的用途における CodeGlass の有用性が確認された.

 

 

柴藤大介,有薗拓也,宮崎章太,矢谷浩司.CodeGlass: GitHubのプルリクエストを活用したコード断片のインタラクティブな調査支援システム.インタラクション2019(フルペーパー). (paper)

Tabby: Explorable Design for 3D Printing Textures

This paper presents Tabby, an interactive and explorable design tool for 3D printing textures. Tabby allows texture design with direct manipulation in the following workflow: 1) select a target surface, 2) sketch and manipulate a texture with 2D drawings, and then 3) generate 3D printing textures onto an arbitrary curved surface. To enable efficient texture creation, Tabby leverages an auto-completion approach which automates the tedious, repetitive process of applying texture, while allowing flexible customization. Our user evaluation study with seven participants confirms that Tabby can effectively support the design exploration of different patterns for both novice and experienced users.

 

 

Ryo Suzuki, Koji Yatani, Mark D. Gross, and Tom Yeh. Tabby: Explorable Design for 3D Printing Textures. In Proceedings of Pacific Graphics 2018.

ソーシャルメディア上の行動データから流出する個人情報の定量的分析

 

情報社会において個人情報を適切に守ることは重要だが,スマートフォンとソーシャルメディアの普及とともに,個人情報の流出経路が多様化している.中でもSNSには,テキストを投稿するだけでなく,他者と交流したり他者の投稿に対してリアクションを行ったりする機能がある.このような行動データから,自らが意図的に個人情報を含んだ投稿を行わなくとも,個人情報の流出が起きる可能性がある.本研究ではSNSとしてTwitterのデータを分析に用いて,本人が投稿したテキスト以外から流出する個人情報について,定量的な評価を行った.

畑田裕二,矢谷浩司.「ソーシャルメディア上の行動データから流出する個人情報の定量的分析」第80回情報処理学会全国大会,2018年3月.学生奨励賞受賞.(paper)

KnowledgeDeck: ビジネス資料作成向け情報収集・整理支援システム

 

ビジネスパーソンは,プレゼンテーションのスライドなどの専門的な資料を作成する機会が多々ある.しかし,専門的な資料の作成は時間がかかることが多く,ナレッジワーカー(主に知的生産物の創造に従事する労働者)の生産性を下げる要因となっている.そこで本研究では,ナレッジワーカーの資料作成を支援するインタラクティブなシステムを構築した.システム設計に際し,ビジネス資料の作成・管理の方法や,その際にどのような問題点を感じているかに関するインタビューを実施し,質的分析を行った.その結果に基づき,Web上の情報を保存・管理し,プレゼンテーションスライドの下書きを行うことを支援するシステムであるKnowledgeDeckを作成した.KnowledgeDeckの有用性を検証するために,3人のナレッジワーカーにエキスパートレビューを行ってもらったところ,KnowledgeDeckは事例紹介を含むプレゼンテーションスライドの作成に,最も有効に活用できる可能性があることがわかった.

下尾波輝,矢谷浩司.「KnowledgeDeck: ビジネス資料作成向け情報収集・整理支援システム」第80回情報処理学会全国大会,2018年3月.(paper)

DiDA: GitHub 上のコード変更と開発履歴に関するデータセット

 

 

GitHub におけるソフトウェア開発の過程で生じた膨大な量のデータは,多くの研究者がプログラミング体験の質を向上させるために利用してきた.ソフトウェア開発データの入手を容易にするため,先行研究では GitHub の開発履歴に関する大規模なデータセットの一般公開が行われている.しかし,GitHub 上のコード変更データと開発履歴データはそれぞれ入手経路が異なり,両者を統合して大規模に収集したデータセットは存在しない.両方のデータを併せ持つデータセットが存在すれば,コード開発に関する新しい視点からの解析・発見が実現できる可能性がある.そこで本研究では,新たなデータ活用の可能性を模索するため,GitHub のコード変更と開発履歴のデータをひとつのデータベースにまとめて収集するシステムを構築した.さらにコード変更を使ったデータセット検索ができるアプリケーションを作成した.

三島潤平,柴藤大介,矢谷浩司.「DiDA: GitHub上のコード変更と開発履歴に関するデータセット」第4回SIGPX勉強会,2018年3月.(paper)

回路図の画像認識を用いたブレッドボード向け実体配線図の自動生成手法に関する検討

 

電子回路の学習において実際に回路を組み立てて実験することは,理論と実際の性質の違いを学ぶための良い演習である.教科書には多くの回路例が掲載されているが,回路図から実体配線を行う過程は時間がかかり,かつ誤配線が起きやすいため,電子回路実験を行う障壁となっている.そこで本研究では,これらの障壁を取り除くため,回路図を撮影した画像からブレッドボード向けの実体配線図を生成するシステムを構築する.本システムでは初学者でも誤配線なく実験を行えるよう,ユーザにとって組みやすい実体配線図の生成を試みる.本稿ではシステムを構築するために行なった予備実験と,現在までの進捗について報告する.

坂口達彦,矢谷浩司.「回路図の画像認識を用いたブレッドボード向け実体配線図の自動生成手法に関する検討」第80回情報処理学会全国大会,2018年3月.(paper)

クラウドソーシングを用いたアイコンの主観的属性と視覚的特徴量の関係性の調査

 

アイコンは GUI や資料製作において重要な要素である.同じテーマのものを描いたアイコンであっ ても,そのスタイル(例:フォーマル,かわいい,近代的)は多岐に渡りそれぞれ異なる印象を与える.し かし,どのような視覚的特徴量がアイコンの持つ主観的属性に寄与するのかに関しての十分な調査はなされ ていない.この関係性を明らかにすることによって,例えば主観的な概念を用いて望みのアイコンを検索 できるシステムのような,アイコンデータとの新たなインタラクションが可能となる.本研究ではアイコ ンの主観的属性と視覚的特徴量の関係を定量的に分析した.まずアイコンのデータセットを Web 上のデー タを用いて構築した.次にクラウドソーシングを用いて 3,380 個の主観的属性候補を収集し,手動で整理 を行い最終的に 45 個の主観的属性を得た.更に,1 つの主観的属性と 2 つのアイコンコレクションを提示しどちらのアイコンコレクションがより与えられた主観的属性に合っているかに関する主観的評価のデー タの収集も行った.このデータを機械学習のモデルに学習させ,アイコンの主観的属性と視覚的特徴量の 関係性を明らかにした.その結果,アスペクト比,黒さ,線幅の一定度合いが主要な視覚的特徴量であることが分かった.本研究は視覚的特徴と主観的属性を結びつけるための定量的手法を提示するものである.

吉谷拓真,矢谷浩司.「クラウドソーシングを用いたアイコンの主観的属性と視覚的特徴量の関係性の調査」第169回情報処理学会CGVI研究会,2018年3月.優秀研究発表賞.(paper)

吉谷拓真,矢谷浩司.「クラウドソーシングを用いたアイコンの主観的属性の収集」第80回情報処理学会全国大会,2018年3月.(paper)

GitHub のプルリクエストを用いたプログラミング課題自動生成システムの実現可能性に関する検討

 

 

教育現場にて習得可能な情報技術と情報産業界で求められる能力には大きな乖離が存在している.教育現場では情報技術の基本原則を習得することを目的としているが,情報産業界において求められる能力は,ソフトウェア開発プロジェクトを推進するための新機能開発やバグ修正といった実践的な技術である.そこで本研究では,以上のような教育現場と情報産業界の乖離を埋めるために,情報産業界において行われたソースコード変更からプログラミング課題を自動生成するシステムを提案する.本稿では、提案システムの実現可能性を模索するために行った分析結果を述べ,得られた知見をもとに今後実装を行うシステムに関して議論する.

柴藤大介,矢谷浩司.「GitHubのプルリクエストを用いたプログラミング課題自動生成システムの実現可能性に関する検討」第80回情報処理学会全国大会,2018年3月.学生奨励賞受賞.(paper)