「Research」カテゴリーアーカイブ

GitHub上のコード変更を利用したプログラミング演習問題の実用性の評価

 

 

学校や教科書で用いられるプログラミングの演習問題と,実際のソフトウェア開発業務に関する知識やスキルの間に隔たりがあることが知られている.先行研究では,GitHubのコード変更データをプログラミング演習問題に転用するシステムであるRealCodeが開発され,既存の学習環境にはない独自の演習問題を提供可能であることが明らかになった.しかし,RealCodeが演習問題を生成する条件に検討の余地が残されていることに加え,演習問題から学べる内容と難易度についての評価・予測は行われていない.そこで,PythonまたはJavaScriptで開発を行った経験のある15人の学生,開発者により,RealCodeが作成した演習問題の妥当性,学習できる内容,難易度についての評価を実施した.本論文では,集めたデータの詳細を報告するとともに演習問題の妥当性,難易度,学習内容の予測に寄与する可能性のある特徴量について議論する.

松井 秀憲,矢谷 浩司.「GitHub上のコード変更を利用したプログラミング演習問題の実用性の評価」情報処理学会HCI研究会,2020年3月.(paper)

 

ユーザの体の3Dモデル上に服装品をデザインするインタフェースの予備的検討

 

 

近年のファブリケーション技術の発達により,洋服やアクセサリなどをユーザが自在にデザインできる世の中が近づいている.一方で,一般的なユーザがちゃんと身につけられる服装品をデザインするためには様々な知識や経験を必要とする場合が多い.本研究では,ユーザの体の3Dデータを元にして,その上に直接服装品をデザインを設計できるインタフェースを提案する.本論文では,現在までに構築したプロトタイプ,および予備的実験の結果について述べる.

胥 皓,矢谷 浩司.「ユーザの体の3Dモデル上に服装品をデザインするインタフェースの予備的検討」情報処理学会HCI研究会,2020年3月.(paper)

コンピュータ使用時に目の乾燥状態を検出する手法の検討

 

 

コンピュータを使用する時や使用した直後,目に異物感などの目の乾燥に起因する症状を経験する人は多い.目の乾燥は生活の質や業務の効率などに甚大な影響を及ぼす.もし目の乾燥状態を検出して症状が出る前にユーザーに警告することができるシステムがあれば,目の乾燥に起因する症状を予防することができる.コンピュータ使用時に目の乾燥状態を検出する従来の手法は,目の瞬きを用いる間接的な手法だった.この手法には,周辺の環境や個人差などは考慮できないという問題があった.目の乾燥状態を直接評価するためには涙液層の観察が必要であるが,涙液層を観察する既存の手法はコンピュータ使用時に用いることができなかった.この問題を解決するために本研究では,ユーザの瞳に映りこんだコンピュータディスプレイの画面の乱れ具合を分析することで,涙液層を観察し,目の乾燥状態を検出する手法を検討する.本稿では本手法の実装方法を述べるとともに,本手法を評価するために実施した予備実験について報告する.

チェ シウク,小野寺 宏,矢谷 浩司.「コンピュータ使用時に目の乾燥状態を検出する手法の検討」情報処理学会UBI研究会,2020年3月.優秀論文賞受賞.(paper)

複数周波数帯での静電容量センシングによる指の識別手法

 

 

どの指が物体に触れているか識別することができれば,指によるインタラクションの幅が大きく広がる.本稿では,導電性の物体にユーザが触れたときに,どの指が触れたかを速く正確に特定する手法を紹介する.本研究において我々は,信号を出力するリストバンドと信号を検知するコンパクトな回路を設計し,導電性の物体に触れた指を特定するシステムを構築した.本システムでは,手の皮膚組織を高周波の信号を伝える導波管として用い,伝わった複数周波数帯の信号の位相や振幅を処理して比較することで,導電性の物体に触れた指を特定することが可能となっている.本稿では,複数周波数帯の信号から指を特定する手法を述べたのち,本システムがスマートウォッチなど日常で用いるデバイスに利用できる可能性について議論する.最後に,本システムを用いた将来のインターフェースの可能性について述べる.

陳 明輝,チャコン サラス ディマス アントニー,矢谷 浩司.「複数周波数帯での静電容量センシングによる指の識別手法」情報処理学会UBI研究会,2020年3月.(paper)

指紋認証Dual-purpose Biometrics における脈拍数計測の改善と評価

 

 

生体認証はスマートフォンなどの認証だけでなくユーザの健康支援に有用な生体データを取得できる可能性がある.橋爪らはスマートフォンの指紋認証と同時にユーザの指尖容積脈波(Photoplethysmography:PPG)を計測するシステムであるAuth `n’ Scan を構築した.このシステムは脈拍を平均誤差1 bpm 未満で測定できるが,そのために指紋認証と比較して長時間である5 秒の測定を必要とする.そこで本研究はシステムを改善し,より短い計測時間での脈拍の精度を向上させることを目的とする.本研究では新たな回路および信号処理手法を提案することで短時間のデータでの脈拍推定を試みた.加えて28 名の参加者のデータを用いた数値的評価を行った.本稿では用いた手法とその評価結果について報告する.

坂口 達彦,矢谷 浩司.「指紋認証 Dual-purpose Biometrics における脈拍数計測の改善と評価」情報処理学会UBI研究会,2020年3月.(paper)

英語非母語話者のアカデミック・ライティングにおけるリアルタイム剽窃疑い提示の効果

 

 
英語が母国語でない話者は言語的な障壁により、剽窃、すなわち他の文献から不適切な形で言葉を「借用する」という行為を犯してしまうことがある。既存のシステムは既に執筆を終えた原稿に対して剽窃の可能性を提示するように設計されている。そのため、執筆途中においては剽窃の疑いを検出することができず、ユーザは各時点で瞬時に文章を修正することができない。本研究では、事後ではなくリアルタイムで剽窃の疑いを提示することが、英語非母語話者の執筆における剽窃行為を回避する上でより効果的であるという仮説を立てた。英語が母国語でない16名の参加者に学術論文を要約してもらう実験を実施し、剽窃の疑いに関する情報提示のタイミングの違いによる効果を比較した。本論文では、剽窃の疑い箇所をリアルタイムで提示することの利点と欠点を明らかにするとともに、将来の剽窃疑い検出ツールにおけるインターフェースデザインの検討について述べる。
 

佐藤 安理紗 ジエンジエラ,柴田 健吾,矢谷 浩司.「英語非母語話者のアカデミック・ライティングにおけるリアルタイム剽窃疑い提示の効果」情報処理学会HCI研究会,2020年1月.

Exploring Nudge Designs to Help Adolescent SNS Users Avoid Privacy and Safety Threats

A nudge is a method to influence individual choices without taking away freedom of choice. We are interested in whether nudges can help adolescents avoid privacy and safety threats on social network services (SNS). We conducted online surveys to compare how different nudge designs influence decisions in 9 scenarios featuring various privacy and safety threats. Through the data collected from adolescent SNS users (self-claimed high school and university students), and found that nudges can help to reduce potentially risky choices. Participants were more likely to avoid potentially risky choices when presented with negative frames (e.g., “90% of users would not share a photo without permission”) than affirmative ones (e.g., “10% of users would”). Social nudges displaying statistics on how likely other people would make potentially risky decisions can have a negative effect in comparison to a nudge with only general privacy and safety suggestions. We conclude by providing design considerations for privacy/safety nudges targeting adolescent SNS users.

ナッジは人の選択肢を奪うことなく人の行動をある方向に誘導するものである。本研究では、若年層ユーザがSNSにおけるプライバシーや安全上の脅威を避けるためのナッジの効果を検討した。プライバシーや安全上の脅威に関する9つのシナリオにおける若年層SNSユーザの意思決定が、異なる警告文のナッジによってどのように変化するのかを比較するオンライン調査を実施した。その結果、ナッジの存在がリスクの高い行動を避けるのに有用となり得ることを確認した。また、「55%の人は(SNSで知り合った人と1対1で)会わないそうだよ」といった否定文のナッジを提示された時の方が、「45%の人は会うそうだよ」といった肯定文のナッジを提示された時と比較して、実験参加者はリスクの高い選択肢を避ける傾向があることが分かった。さらに、他の人がどのように行動するのかを統計的に示すソーシャルナッジは、単にプライバシーや安全に関しての提案を行うナッジと比較して、安全な行動を促進する上で逆効果ともなり得ることが分かった。最後に、若年層SNSユーザのためのナッジデザインの検討を述べる。

 

Hiroaki Masaki, Kengo Shibata, Shui Hoshino, Takahiro Ishihama, Nagayuki Saito, and Koji Yatani. Exploring Nudge Designs to Help Adolescent SNS Users Avoid Privacy and Safety Threats. In Proceedings of ACM CHI Conference on Human Factors in Computing Systems, 1-11, April 2020. Honorable Mention Award winner (paper)

正木 博明,柴田 健吾,星野 秀偉,石濵 嵩博,齋藤 長行,矢谷 浩司.「SNS上の行動に関する若年層ユーザに対するナッジの効果検証」情報処理学会HCI研究会,2020年1月.学生奨励賞受賞.(paper)

ひま部上でのアンケート調査に関するご説明

2019年12月16日
東京大学 大学院工学系研究科 矢谷研究室

アンケート調査に回答して頂いたひま部ユーザの方々ありがとうございました。ご協力に感謝致します。このページでは今回の実験に関する追加の説明をさせていただきます。本実験は東京大学大学院工学系研究科倫理審査委員会による審査を事前に経ており、承認を得ています。(承認番号: KE19-08)

 

研究目的

アンケート画面では、「東京大学矢谷研究室 若年層ユーザのプライバシーやセキュリティ意識調査」とお知らせしました。この研究の目的の1つは、お知らせした通り「若年層SNSユーザのプライバシーやセキュリティに関する意識や行動についての定量的な理解を得ること」でした。実際にはもう1つの目的があり、それは「質問の提示方法を変えた時に回答がどのように変化するか」を調査することでした。そのため、質問文の上に「多くの人は〇〇しないそうだよ」や「95%の人は〇〇しないそうだよ」といった幾つかの警告文のパターンを表示して、回答の割合を比較していました。その際、「95%の人は〇〇しないそうだよ」などという架空の調査結果も一部の方に表示しました。この調査によって、どのような警告文が若年層SNSユーザのプライバシーやセキュリティに関する意識や行動を変化させるのに効果的かを明らかにすることがアンケートの目的でした。

正確な結果を得るために、アンケートに回答して頂く前にこれら全ての詳細をお伝えすることはできませんでした。詳細をお伝えしないことで、皆さんの回答が自然なものであり前提知識や研究目的に影響されないようにしていました。 今回のアンケート調査においては、「95%の人は〇〇しないそうだよ」などという架空の調査結果を一部の方に表示しましたが、皆さんに先に研究の目的をお伝えすると皆さんの回答結果に影響する恐れがありました。研究のために皆さんに架空の情報を表示してしまいましたが、ご理解して頂ければと思います。

個人情報

研究の目的の一部はアンケート回答時にお伝えすることができませんでしたが、アンケート画面に表示しました「回答結果はひま部運営が個人情報を除いて分析して研究発表に使用する可能性があります。」の方針に関しては上記の通りであります。 本来であれば研究の本当の目的をお知らせした後に、ひま部ユーザの皆さんが自分のデータを研究に使って欲しくない場合データを除去することが可能なのですが、調査の際のアプリシステムの都合上それが難しく、ご自身のデータを除去するかの判断を皆さんに行って頂く機会を設けられず申し訳ありません。ご理解頂けると幸いです。

研究の報告に関して

この実験、および研究の結果に関しては、学術会議等で発表された論文を公表次第、東京大学矢谷研究室のホームページにて公開致しますので、ご興味のある方はご覧下さい。また、質問等ございましたらご連絡下さい。

連絡先

この調査の目的や手続きに関して、ご質問やご懸念、その他の問題がございましたらこちらにご連絡下さい。東京大学矢谷研究室: sns-nudge [at-mark] iis-lab.org

今後もこの内容を見られるようにするために、スクリーンショットや印刷などの方法で保存して頂ければと思います。最後になりますが、調査へのご協力誠にありがとうございました。

商品棚前における非計画購買者の行動特徴量の検討

 

購買者が入店前に購入品目を決定しなかったにもかかわらず,店内において購買を決定する購買行動を非計画購買と呼ぶ.実店舗においてこの非計画購買を理解することは販促活動において非常に重要視されている.その理由の一つとして,日本のコンビニエンスストアにおいて売り上げの70%は非計画購買によって成り立っているという調査がある.既存の研究ではカメラやセンサーを用いて実店舗における購買行動を調査しているが,非計画購買の特徴を説明づけるような行動特徴量の調査は今まで行われてこなかった.そこで本研究ではセンサーを備えたスマート商品棚を用いて,非計画購買に特有の行動特徴量に関する定量的な調査を行なった.研究室に店舗を模した環境を用意して実験を行なった結果,棚前での滞在時間や商品に手を伸ばした回数,棚からの距離が計画購買と比べて有意な差を示すことがわかった.また,これらの特徴量にBoruta と呼ばれる特徴量抽出手法とサポートベクターマシンを用いることで購買行動の分類を試みた結果,precision = 0.76recall = 0.81 であった.最後にこれらの結果に対する議論および今後の展望について述べる.

杉山 悠司,刀根 亮太,今村 修一郎,矢谷 浩司.「商品棚前における非計画購買者の行動特徴量の検討」情報処理学会第62回UBI研究会,2019年6月.(paper)

LINKED: RFID技術を活用した未来の家のコンセプト提案

 

LINKED: RFID技術を活用した未来の家のコンセプト提案

2018年12月に,コンセプト立案,及びコンセプトビデオ作成を行った,家庭内におけるRFID(電子タグ技術)を利用した未来の生活ビジョン,LINKED,です.このコンセプトビデオは,東京ガス横浜ショールームの「くらしのライブラリー キッチンライブラリーコーナー」における展示の一部として公開されたものです.現在の行為と直後の行為を結びつけるLINK foward,現在の行為と直前の行為を結びつけるLINK back,現在の行為と未来の行為を結びつけるLINK aheadの3つの結びつけ方とともに,5つの具体的なRFID技術の活用例を示しました.

なお以下の映像は,経済産業省が所管する新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)「IoTを活用した新産業モデル創出基盤整備事業」の一環として制作しました.

 

 

さらに,我々が提案したコンセプトをもとにしたビジョンビデオがこちらになります.

 

経済産業省プレスリリース
http://www.meti.go.jp/press/2018/02/20190208003/20190208003.html