スマートテキスタイル技術によってセンサを作成する上で,コンピューター制御による刺繍ミシンにより糸密度やピッチなどの設計パラメータを調整することで,導電糸刺繍の抵抗値を制御できることが明らかになっている. そこで本研究では,刺繍の設計パラメータの違いによる抵抗値変化を活用した,布の変形を検出する手法を提案する. これまで,布の柔軟性を活かし,つまむ・折る・曲げるなどの変形検出手法が提案されているが,これらの先行研究は布とセンサ回路基板との接続数の増大などハードウェアの複雑化による耐久性の低下が課題になっている. 本研究では,電極形状ではなく刺繍の設計パラメータの変化により所望の電気的特性を実現することで,布とセンサとの接続数を減らした簡略なハードウェアによる変形の検出を目指す. また,タタミ縫いにおける刺繍の等価抵抗回路モデルの構築により,センサの検出精度向上に役立てる.

篠田 和宏,矢谷 浩司.導電糸刺繍の設計パラメータの違いによる抵抗値変化を活用した布変形検出手法.DICOMO 2023,2023年7月.(paper)