現代社会において多くの人が抱えるとされているストレスは,蓄積してしまうと様々な悪影響をもたらすため,こまめに発散することが重要である.そのためストレスの発散を支援するデジタルアプリケーションが研究・開発されてきているが,ストレスの有効な発散方法とされている感情の表出に着目したものは少ない.そこで本研究では,ストレスから生じる感情を表出し発散することのできるチャットボットシステムの設計を行った.このチャットボットでは,ストレスに感じた出来事とそれにまつわる感情をテキスト入力か音声入力により表出することで,ストレスを管理する事ができる.入力方法による違いを検証するため,2 週間にわたり28 名の参加者に実際にシステムを利用してもらう実験を実施し,ストレスの発散効果にどのような違いが出るのかについて分析を行った.結果として,ストレス管理のためのチャットボットにおいてはテキスト入力がより好まれ,それぞれの入力方法の利点と欠点が明らかになった.今後の研究においては感情の表出によるストレスの解消を支援する追加の機能の開発と,様々な入力方法が与える影響についてのさらなる検証が必要である.

乘濵 駿平,宮崎 翔,耿 世嫻,下島 銀士,佐藤 安理紗 ジエンジエラ,ホシオ シモ,矢谷 浩司.対話形式でのストレス管理に向けた チャットボットにおける入力方法の評価.DICOMO 2023,2023年7月.(paper)