カテゴリー別アーカイブ: Research

ソーシャルメディア上の行動データから流出する個人情報の定量的分析

 

情報社会において個人情報を適切に守ることは重要だが,スマートフォンとソーシャルメディアの普及とともに,個人情報の流出経路が多様化している.中でもSNSには,テキストを投稿するだけでなく,他者と交流したり他者の投稿に対してリアクションを行ったりする機能がある.このような行動データから,自らが意図的に個人情報を含んだ投稿を行わなくとも,個人情報の流出が起きる可能性がある.本研究ではSNSとしてTwitterのデータを分析に用いて,本人が投稿したテキスト以外から流出する個人情報について,定量的な評価を行った.

畑田裕二,矢谷浩司.「ソーシャルメディア上の行動データから流出する個人情報の定量的分析」第80回情報処理学会全国大会,2018年3月.学生奨励賞受賞.(paper)

KnowledgeDeck: ビジネス資料作成向け情報収集・整理支援システム

 

ビジネスパーソンは,プレゼンテーションのスライドなどの専門的な資料を作成する機会が多々ある.しかし,専門的な資料の作成は時間がかかることが多く,ナレッジワーカー(主に知的生産物の創造に従事する労働者)の生産性を下げる要因となっている.そこで本研究では,ナレッジワーカーの資料作成を支援するインタラクティブなシステムを構築した.システム設計に際し,ビジネス資料の作成・管理の方法や,その際にどのような問題点を感じているかに関するインタビューを実施し,質的分析を行った.その結果に基づき,Web上の情報を保存・管理し,プレゼンテーションスライドの下書きを行うことを支援するシステムであるKnowledgeDeckを作成した.KnowledgeDeckの有用性を検証するために,3人のナレッジワーカーにエキスパートレビューを行ってもらったところ,KnowledgeDeckは事例紹介を含むプレゼンテーションスライドの作成に,最も有効に活用できる可能性があることがわかった.

下尾波輝,矢谷浩司.「KnowledgeDeck: ビジネス資料作成向け情報収集・整理支援システム」第80回情報処理学会全国大会,2018年3月.(paper)

DiDA: GitHub 上のコード変更と開発履歴に関するデータセット

 

 

GitHub におけるソフトウェア開発の過程で生じた膨大な量のデータは,多くの研究者がプログラミング体験の質を向上させるために利用してきた.ソフトウェア開発データの入手を容易にするため,先行研究では GitHub の開発履歴に関する大規模なデータセットの一般公開が行われている.しかし,GitHub 上のコード変更データと開発履歴データはそれぞれ入手経路が異なり,両者を統合して大規模に収集したデータセットは存在しない.両方のデータを併せ持つデータセットが存在すれば,コード開発に関する新しい視点からの解析・発見が実現できる可能性がある.そこで本研究では,新たなデータ活用の可能性を模索するため,GitHub のコード変更と開発履歴のデータをひとつのデータベースにまとめて収集するシステムを構築した.さらにコード変更を使ったデータセット検索ができるアプリケーションを作成した.

三島潤平,柴藤大介,矢谷浩司.「DiDA: GitHub上のコード変更と開発履歴に関するデータセット」第4回SIGPX勉強会,2018年3月.(paper)

回路図の画像認識を用いたブレッドボード向け実体配線図の自動生成手法に関する検討

 

電子回路の学習において実際に回路を組み立てて実験することは,理論と実際の性質の違いを学ぶための良い演習である.教科書には多くの回路例が掲載されているが,回路図から実体配線を行う過程は時間がかかり,かつ誤配線が起きやすいため,電子回路実験を行う障壁となっている.そこで本研究では,これらの障壁を取り除くため,回路図を撮影した画像からブレッドボード向けの実体配線図を生成するシステムを構築する.本システムでは初学者でも誤配線なく実験を行えるよう,ユーザにとって組みやすい実体配線図の生成を試みる.本稿ではシステムを構築するために行なった予備実験と,現在までの進捗について報告する.

坂口達彦,矢谷浩司.「回路図の画像認識を用いたブレッドボード向け実体配線図の自動生成手法に関する検討」第80回情報処理学会全国大会,2018年3月.(paper)

クラウドソーシングを用いたアイコンの主観的属性と視覚的特徴量の関係性の調査

 

アイコンは GUI や資料製作において重要な要素である.同じテーマのものを描いたアイコンであっ ても,そのスタイル(例:フォーマル,かわいい,近代的)は多岐に渡りそれぞれ異なる印象を与える.し かし,どのような視覚的特徴量がアイコンの持つ主観的属性に寄与するのかに関しての十分な調査はなされ ていない.この関係性を明らかにすることによって,例えば主観的な概念を用いて望みのアイコンを検索 できるシステムのような,アイコンデータとの新たなインタラクションが可能となる.本研究ではアイコ ンの主観的属性と視覚的特徴量の関係を定量的に分析した.まずアイコンのデータセットを Web 上のデー タを用いて構築した.次にクラウドソーシングを用いて 3,380 個の主観的属性候補を収集し,手動で整理 を行い最終的に 45 個の主観的属性を得た.更に,1 つの主観的属性と 2 つのアイコンコレクションを提示しどちらのアイコンコレクションがより与えられた主観的属性に合っているかに関する主観的評価のデー タの収集も行った.このデータを機械学習のモデルに学習させ,アイコンの主観的属性と視覚的特徴量の 関係性を明らかにした.その結果,アスペクト比,黒さ,線幅の一定度合いが主要な視覚的特徴量であることが分かった.本研究は視覚的特徴と主観的属性を結びつけるための定量的手法を提示するものである.

吉谷拓真,矢谷浩司.「クラウドソーシングを用いたアイコンの主観的属性と視覚的特徴量の関係性の調査」第169回情報処理学会CGVI研究会,2018年3月.優秀研究発表賞.(paper)

吉谷拓真,矢谷浩司.「クラウドソーシングを用いたアイコンの主観的属性の収集」第80回情報処理学会全国大会,2018年3月.(paper)

GitHub のプルリクエストを用いたプログラミング課題自動生成システムの実現可能性に関する検討

 

 

教育現場にて習得可能な情報技術と情報産業界で求められる能力には大きな乖離が存在している.教育現場では情報技術の基本原則を習得することを目的としているが,情報産業界において求められる能力は,ソフトウェア開発プロジェクトを推進するための新機能開発やバグ修正といった実践的な技術である.そこで本研究では,以上のような教育現場と情報産業界の乖離を埋めるために,情報産業界において行われたソースコード変更からプログラミング課題を自動生成するシステムを提案する.本稿では、提案システムの実現可能性を模索するために行った分析結果を述べ,得られた知見をもとに今後実装を行うシステムに関して議論する.

柴藤大介,矢谷浩司.「GitHubのプルリクエストを用いたプログラミング課題自動生成システムの実現可能性に関する検討」第80回情報処理学会全国大会,2018年3月.学生奨励賞受賞.(paper)

Al-light: An Alcohol-Sensing Smart Ice Cube

 

Inappropriate alcohol drinking may cause health and social problems. Although controlling the intake of alcohol is effective to solve the problem, it is laborious to track consumption manually. A system that automatically records the amount of alcohol consumption has a potential to improve behavior in drinking activities. Existing devices and systems support drinking activity detection and liquid intake estimation, but our target scenario requires the capability of determining the alcohol concentration of a beverage. We present Al-light, a smart ice cube to detect the alcohol concentration level of a beverage using an optical method. Al-light is the size of 31.9 x 38.6 x 52.6 mm and users can simply put it into a beverage for estimation. It embeds near infrared (1450 nm) and visible LEDs, and measures the magnitude of light absorption. Our device design integrates prior technology in a patent which exploits different light absorption properties between water and ethanol to determine alcohol concentration. Through our revisitation studies, we found that light at the wavelength of 1450 nm has strong distinguishability even with different types of commercially-available beverages. Our quantitative examinations on alcohol concentration estimation revealed that Al-light was able to achieve the estimation accuracy of approximately 2 % v/v with 13 commercially-available beverages. Although our current approach needs a regressor to be trained for a particular ambient light condition or the sensor to be calibrated using measurements with water, it does not require beverage-dependent models unlike prior work. We then discuss four applications our current prototype supports and future research directions.

過度な飲酒は, 健康面や社会的な面で様々な問題を引き起こし得る.アルコール摂取量を自動的に計測し,ユーザの飲酒を定量的に管理することが可能となれば,これらの問題の予防に貢献できる.しかしながら,アルコール摂取量を計測する上で知る必要があるアルコール濃度について,これを手軽に計測するスマートデバイスは知られていない.そこで我々は,近赤外・可視光LED と光検出器を搭載し,水とアルコールの光吸収特性を利用してアルコール濃度計測を行うスマートアイスキューブを提案する.本研究で作成したプロトタイプは3 x 4 x 5 cm の直方体であり,ユーザがこのデバイスをグラスの中に入れるだけで,通常の飲酒行為を妨げることなく濃度計測が行われる.本稿では,プロトタイプを用いて市販のアルコール飲料のアルコール濃度を計測した実験結果を報告し,実現されるアプリケーションについて議論する.

Hidenori Matsui, Takahiro Hashizume, and Koji Yatani. Al-light: An Alcohol-Sensing Smart Ice Cube. Proc. ACM Interact. Mob. Wearable Ubiquitous Technol. (PACM IMWUT) 2, 3, Article 126 (September 2018), 20 pages. (paper) (video)

松井秀憲,橋爪崇弘,矢谷浩司.「飲料のアルコール濃度計測を行うスマートアイスキューブの試作と評価」第58回情報処理学会UBI研究会,2018年5月.優秀論文賞受賞.(paper)

松井秀憲,橋爪崇弘,矢谷浩司.「氷型スマートデバイス向け光学的アルコール濃度推定手法の調査」第80回情報処理学会全国大会,2018年3月.学生奨励賞受賞.(paper)

テレビ東京 ワールドビジネスサテライト トレンドたまご(8/2放送分).
http://www.tv-tokyo.co.jp/mv/wbs/trend_tamago/post_160082/
http://www.tv-tokyo.co.jp/plus/smp/business/entry/2018/017664.html

TalkZones: Section-based Time Support for Presentations

 


Managing time while presenting is challenging, but mobile devices offer both convenience and flexibility in their ability to support the end-to-end process of setting, refining, and following presentation time targets. From an initial HCI-Q study of 20 presenters, we identified the need to set such targets per “zone” of consecutive slides (rather than per slide or for the whole talk), as well as the need for feedback that accommodates two distinct attitudes towards presentation timing. These findings led to the design of TalkZones, a mobile application for timing support. When giving a 20-slide, 6m40s rehearsed but interrupted talk, 12 participants who used TalkZones registered a mean overrun of only 8s, compared with 1m49s for 12 participants who used a regular timer. We observed a similar 2% overrun in our final study of 8 speakers giving rehearsed 30-minute talks in 20 minutes. Overall, we show that TalkZones can encourage presenters to advance slides before it is too late to recover, even under the adverse timing conditions of short and shortened talks.

プレゼンテーション中の時間管理は多くのユーザにとって課題である.モバイルデバイスの利便性と柔軟性をうまく活用することで,プレゼンテーション時間の目標を設定・調整・トラックすることができる可能性がある.20人の参加者に対する初期実験の結果,スライド単位でもプレゼンテーション全体でもなく「ゾーン」と呼ばれる一連のスライド群に対して時間目標を設定すべきであり,また,プレゼンテーションのタイミングに関する2つのタイプのフィードバックを行う必要があるということが判明した.これらに基づいて我々はプレゼンテーション時間管理アプリケーションであるTalkZonesを開発した.20枚のスライドを6分40秒でプレゼンしてもらう実験では,通常のタイマを使用した12人のプレゼン平均超過時間は1分49秒だったのに対し,TalkZonesを使用した12人はわずか8秒であった.また,本来なら30分のプレゼンを20分で行ってもらう実験を8人に対し行なった結果,2%しか時間超過しないという結果も得られた.したがって,TalkZonesは時間超過につながる前にプレゼンを進行させ,時間通り発表を行えるようにユーザを支援することができた.

B. Saket, S. Yang, H. Z. Tan, K. Yatani, and D. Edge, “TalkZones: Section-based Time Support for Presentations,” in Proceedings of the ACM SIGCHI International Conference on Human Computer Interaction with Mobile Devices and Services (MobileHCI 2014), 2014.
[Paper] [Video] Honorable Mention Award

ReviewCollage: A Mobile Interface for Direct Comparison Using Online Reviews

 

Review comments posted in online websites can help the user decide a product to purchase or place to visit. They can also be useful to closely compare a couple of candidate entities. However, the user may have to read different webpages back and forth for comparison, and this is not desirable particularly when she is using a mobile device. We present ReviewCollage, a mobile interface that aggregates information about two reviewed entities in a one-page view. ReviewCollage uses attribute-value pairs, known to be effective for review text summarization, and highlights the similarities and differences between the entities. Our user study confirms that ReviewCollage can support the user to compare two entities and make a decision within a couple of minutes, at least as quickly as existing summarization interfaces. It also reveals that ReviewCollage could be most useful when two entities are very similar.

ウェブサイト上に掲載された様々なレビューは商品の購入や旅行先を決定する際などに役に立つ.また,レビューによってそれらを詳細に比較することもできる.しかしながら,ユーザはそれらの比較のために異なるウェブページを何度も往復して読まなければならない場合があり,これは特にモバイルデバイスを使用する際にとても煩雑な作業となる.そこで我々は,2つのエンティティに関するレビューを1ページに集約するモバイルインタフェース,ReviewCollageを提案する.ReviewCollageはレビュー文の要約に効果的であると知られている「属性と値」のペアを用いて,エンティティ間の類似点と相違点を強調して表示する.ユーザースタディの結果,ReviewCollageを用いることで,ユーザは数分以内という,少なくとも既存の要約システムと同程度に素早く2つのエンティティを比較し意思決定できることが判明した.また,ReviewCollageは2つのエンティティが似ている際に最も役に立つということもわかった.

H. Jin, T. Sakai, and K. Yatani, “ReviewCollage: A Mobile Interface for Direct Comparison Using Online Reviews,” in Proceedings of the ACM SIGCHI International Conference on Human Computer Interaction with Mobile Devices and Services (MobileHCI 2014), 2014.
[Paper] [Video] Honorable Mention Award

NUGU: A Group-based Intervention App for Improving Self-Regulation of Limiting Smartphone Use

 

Our preliminary study reveals that individuals use various management strategies for limiting smartphone use, ranging from keeping smartphones out of reach to removing apps. However, we also found that users often had difficulties in maintaining their chosen management strategies due to the lack of self-regulation. In this paper, we present NUGU, a group-based intervention app for improving self-regulation on smartphone use through leveraging social support: groups of people limit their use together by sharing their limiting information. NUGU is designed based on social cognitive theory and it has been developed iteratively through two pilot tests. Our three-week user study (n = 62) demonstrated that compared with its non-social counterpart, the NUGU users’ usage amount significantly decreased and their perceived level of managing disturbances improved. Furthermore, our exit interview confirmed that NUGU’s design elements are effective for achieving limiting goals.

人々はスマートフォンの利用を制限するために様々な戦略を用いている.例えば,すぐに手にとってしまわないようにスマートフォンをできるだけ遠ざけたり,アプリを削除したりなどである.しかしながら,そういった自己制御に頼った戦略はしばしば失敗に終わってしまう.そこで本稿では,ソーシャルサポートを利用してスマートフォン利用に関する自己制御を向上させるアプリNUGUを提案する.NUGUはグループ内のメンバが互いにスマートフォンの制限情報を共有することで,メンバ同士助け合いながら共にスマートフォンを使わないように支援するアプリケーションである.我々はNUGUを社会認知理論に基づいて設計し,2回のパイロットスタディを通じて改善した.62人の実験参加者に対して行なった3週間のユーザースタディの結果,NUGUを使用したユーザは使用しない者に比べ,スマートフォン使用量が大幅に減少することが判明した.また,インタビューの結果NUGUの設計要素はスマートフォンの制限目標を達成するのに有効であることがわかった.

M. Ko, S. Yang, J. Lee, C. Heizmann, J. Jeong, U. Lee, D. H. Shin, K. Yatani, J. Song, and K. Chung, “NUGU: A Group-based Intervention App for Improving Self-Regulation of Limiting Smartphone Use,” in Proceedings of the ACM conference on Computer-Supported Cooperative Work and Social Computing (CSCW 2015), 2015.
[Paper]