コンピュータを使用する時や使用した直後,目に異物感などの目の乾燥に起因する症状を経験する人は多い.目の乾燥は生活の質や業務の効率などに甚大な影響を及ぼす.もし目の乾燥状態を検出して症状が出る前にユーザーに警告することができるシステムがあれば,目の乾燥に起因する症状を予防することができる.コンピュータ使用時に目の乾燥状態を検出する従来の手法は,目の瞬きを用いる間接的な手法だった.この手法には,周辺の環境や個人差などは考慮できないという問題があった.目の乾燥状態を直接評価するためには涙液層の観察が必要であるが,涙液層を観察する既存の手法はコンピュータ使用時に用いることができなかった.この問題を解決するために本研究では,ユーザの瞳に映りこんだコンピュータディスプレイの画面の乱れ具合を分析することで,涙液層を観察し,目の乾燥状態を検出する手法を検討する.本稿では本手法の実装方法を述べるとともに,本手法を評価するために実施した予備実験について報告する.
チェ シウク,小野寺 宏,矢谷 浩司.「コンピュータ使用時に目の乾燥状態を検出する手法の検討」情報処理学会UBI研究会,2020年3月.優秀論文賞受賞.(paper)