ウェアラブルデバイスには,デバイスのサイズや身につける位置などの制約から文字入力が困難であるという課題がある.これに対してすでに多くの研究が行われているが,既存の手法は文字入力をするために覚えるべきことが多い,身につけた時に違和感がある,入力時の姿勢や動作が不自然になってしまう,入力に視線の注意が常に必要といった課題がある.そこで,本研究では導電糸を用いたズボン型の手書き文字入力が可能なデバイスを提案する.手書き入力であれば,ユーザはその入力を用いるために新たに入力方法を覚える必要がなくすぐに使うことができる.また,導電糸を用いてズボンに文字入力の機構を組み込むことで身につけていることの違和感もなく,入力の動作も目立たないと考えられる.加えて,広い入力面に自由な書き方の手書き入力をできるようにすることで,アイズフリーでの入力を可能にする.これを達成するために,ストライプ状に導電糸を編み込んだデバイスで,一次元入力のみの手書き文字認識を実装する.

 

篠田 和宏,原田 珠華,佐野 由季,安斉 周,矢谷 浩司.「導電糸を用いたウェアラブルデバイス向け手書き文字入力デバイス」電子情報通信学会全国大会,2021年3月.(paper)