英語が母国語でない話者は言語的な障壁により、剽窃、すなわち他の文献から不適切な形で言葉を「借用する」という行為を犯してしまうことがある。既存のシステムは既に執筆を終えた原稿に対して剽窃の可能性を提示するように設計されている。そのため、執筆途中においては剽窃の疑いを検出することができず、ユーザは各時点で瞬時に文章を修正することができない。本研究では、事後ではなくリアルタイムで剽窃の疑いを提示することが、英語非母語話者の執筆における剽窃行為を回避する上でより効果的であるという仮説を立てた。英語が母国語でない16名の参加者に学術論文を要約してもらう実験を実施し、剽窃の疑いに関する情報提示のタイミングの違いによる効果を比較した。本論文では、剽窃の疑い箇所をリアルタイムで提示することの利点と欠点を明らかにするとともに、将来の剽窃疑い検出ツールにおけるインターフェースデザインの検討について述べる。
佐藤 安理紗 ジエンジエラ,柴田 健吾,矢谷 浩司.「英語非母語話者のアカデミック・ライティングにおけるリアルタイム剽窃疑い提示の効果」情報処理学会HCI研究会,2020年1月.