依存症の治療としては,認知行動療法や動機づけ面接によるものの効果がこれまでの研究によって示されてきた.我が国においてそれらを活用した,物質使用障害に対する治療プログラムとしてSMARPPがある.また,これを遠隔地など専門家が現地に存在しない場面でもプログラムを受講できるシステムも開発されている.しかし,現行SMARPP における利点や欠点といった特性やプログラム内で用いられている技法を調査し,それを活かしたシステムはまだない.本研究では,そのようなシステムによる支援を目指すため,プログラム内のコミュニケーションを中心に質的調査を行った.結果,コミュニケーションの際の意識やプログラムで感じている利点や欠点などが明らかになり,デジタル技術による支援がいくつか提案された.
下島 銀士,耿 世嫻,乘濵 駿平,田村 綾子,高野 歩,矢谷 浩司.薬物依存症治療におけるデジタルコミュニケーションの活用可能性に関する質的調査.DICOMO 2023,2023年7月.(paper)