月経前症候群(PMS)や月経に伴う不調といった日常生活に支障を及ぼす症状を感じる女性は増加している.身体症状や精神症状など複合的な症状に対して様々な対策が提示されているが,自らの症状やその対策についての情報共有による改善の効果に焦点を当てた研究は少ない.他者への自己開示は精神的にポジティブな影響を与えることがわかっていることから,本研究では情報共有に焦点を当て,情報共有意識の異なる群ごとの特徴から,症状改善へつながりうる要因を検討することを目的とした.20 歳以上の日本人女性を対象にアンケート調査を実施した.各群に質問を行い,属性ごとの情報共有の意識の違いを生む背景となっている要素を検討した.その結果,情報共有をしている人は周囲の身近な人への共有が盛んで,精神症状にポジティブな影響を感じている傾向がわかった.また,共有意思がない群は気分症状をもつ割合が有意に少ないことがわかり,気分症状の有無が情報共有意識の差を生む要素である可能性が示唆された.
土居 明莉,耿 世嫻,矢谷 浩司.PMSや月経に伴う不調の症状や対策に関する情報の共有意識の違いに関する定量的調査.情報処理学会HCI研究会,2023年3月.(paper)
土居 明莉,耿 世嫻,矢谷 浩司.PMSや月経に伴う不調の重症度と症状や対策に関する情報共有意識の関係についての定量的調査.日本健康支援学会年次学術大会.2023年3月.(paper)