アイコンは GUI や資料製作において重要な要素である.同じテーマのものを描いたアイコンであっ ても,そのスタイル(例:フォーマル,かわいい,近代的)は多岐に渡りそれぞれ異なる印象を与える.し かし,どのような視覚的特徴量がアイコンの持つ主観的属性に寄与するのかに関しての十分な調査はなされ ていない.この関係性を明らかにすることによって,例えば主観的な概念を用いて望みのアイコンを検索 できるシステムのような,アイコンデータとの新たなインタラクションが可能となる.本研究ではアイコ ンの主観的属性と視覚的特徴量の関係を定量的に分析した.まずアイコンのデータセットを Web 上のデー タを用いて構築した.次にクラウドソーシングを用いて 3,380 個の主観的属性候補を収集し,手動で整理 を行い最終的に 45 個の主観的属性を得た.更に,1 つの主観的属性と 2 つのアイコンコレクションを提示しどちらのアイコンコレクションがより与えられた主観的属性に合っているかに関する主観的評価のデー タの収集も行った.このデータを機械学習のモデルに学習させ,アイコンの主観的属性と視覚的特徴量の 関係性を明らかにした.その結果,アスペクト比,黒さ,線幅の一定度合いが主要な視覚的特徴量であることが分かった.本研究は視覚的特徴と主観的属性を結びつけるための定量的手法を提示するものである.

吉谷拓真,矢谷浩司.「クラウドソーシングを用いたアイコンの主観的属性と視覚的特徴量の関係性の調査」第169回情報処理学会CGVI研究会,2018年3月.優秀研究発表賞.(paper)

吉谷拓真,矢谷浩司.「クラウドソーシングを用いたアイコンの主観的属性の収集」第80回情報処理学会全国大会,2018年3月.(paper)