ストレスは抑うつなどを防ぐためにもこまめな解消が重要である.解消の支援にあたり,時間や場所の制約がないデジタルツールの活用が広まっており,近年ではチャットボットでの対話形式の支援が注目されている.チャットボットに対してストレスを言語化して表出する筆記開示は有効な解消方法であるとされているが、ストレスについて思い出すことで気分が下がる可能性があることや,作業の負担が大きいことなどが課題として指摘されている.そこで本研究では,筆記開示に対する応答を変化させることによって,解消の効果や知覚する負担を変化させることができるのかについて検証を行った.画面上でストレスを能動的に消失させた場合,消失する様子を受動的に知覚した場合,何もしなかった場合の3つの条件を用意し,36名の方にそれぞれ1週間ずつ計3 週間利用してもらった.実験の結果から,条件ごとに得られる異なった効果を明らかにし,さらにストレス管理を行うためのツールのデザインについて議論した.

 

乘濵駿平, 耿世嫻, 宮崎翔, 佐藤安理紗ジエンジエラ, 下島銀士, 平野真理, シモホシオ, 矢谷浩司. 2024. 筆記開示チャットボットにおけるストレス解消感を高める視覚フィードバックデザインの比較評価. 情報処理学会UBI研究会, 2024年5月. (paper) 学生奨励賞受賞