
情報処理技術を活用した多くの面接支援システムは,模擬面接を通してユーザーの姿勢や発話を分析し,フィードバックを生成する.しかし,それらはあくまで第三者的視点からのアドバイスであり,ユーザーは改善の目標となる理想的な自己のパフォーマンスを直接観察することができない.この課題に対して,ユーザーの背景情報を学習し,ユーザーのように振る舞うLLM 駆動の「AI セルフクローン」を用いた面接支援システムを提案する.本システムではユーザーのAI セルフクローンを模擬面接に参加させ,ユーザーの文脈で質問に回答させるシミュレーションを行う.AI セルフクローンは面接において理想とされる振る舞いを行うように調整されており,ユーザーはその振る舞いを参照することで自己の理想的なパフォーマンスを観察し,それを目標として改善の方向性を明確にすることができる.本研究では改善の対象を発話内容に限定し,就職活動を控える,もしくは直近に経験した成人を対象とした実験を行った.結果,ユーザーはAI セルフクローンの発言を利用して自己の発話内容を改善できただけでなく,過去の体験を思い出し,新たな視点から経験を語るなどの効果が確認された.
山中 駿, 中野 博貴, 矢谷 浩司.AIセルフクローンを用いた面接時の回答改善支援手法の検討.情報処理学会HCI研究会,2025年11月.(paper)