自然言語処理技術に基づく大規模言語モデル(LLM)の進化により,高い生成能力を示すAI技術がシステム開発やプログラミングの分野にも影響を与えている.本研究では対話型のテキスト生成AIの利用に関して, 情報可視化システムの開発におけるユーザの行動パターンと利用目的に焦点を当てた定量的な分析を行う情報検索におけるセッション分析の観点を取り入れ,連続して入力されたプロンプト同士の関係性にも注目してAIの利用実態を考察する.さらに,これらの利用実態の調査結果からユーザの生成AIを用いたシステム開発を支援するツールの設計について考察を行う.分析の結果,ユーザの対話型AIの利用がAIを主軸としてコードを積極的に記述させる段階と,AI をコード記述の支援に利用してユーザが主体となってコードを記述する2つの段階に分類されることが確認された.また,ユーザとAI間でのシステム開発の進捗状況の同期の難しさが存在することが確認され,支援の必要性が確認された.

平林 晴馬,宮崎 翔,矢谷 浩司.2024.情報可視化システム開発における大規模言語モデルプロンプトの定量的調査.DICOMO 2024.(paper)